変化の激しい時代を生き残る方法論を学ぶ~『パラノイアだけが生き残る』【書評】

さて、今回読んだのはアンドリュー・S・グローブ『パラノイアだけが生き残る』です。

Amazonで購入する【パラノイアだけが生き残る】

本書は1997年に出版された『インテル戦略転換 』の復刻版で、日本語版序文と第10章が新たに追加された内容となっています。

 

でも、まあ、ほとんど同じ内容なので安くて古い方でいいや、と思うかもしれませんが、、、

『インテル戦略転換』の中古本と本書の新品の価格がほぼ一緒なので、こっちを買ったほうがお得かな、と思います。

 

本書の内容は、インテルのCEOだった著者が戦略的転換点、つまり

『既存のビジネスモデルを根本から変化さるような転換期をどう切り抜けるのか?』

ということについて、インテルなどの事例を交えながら解説されています。

どんな人が読むべきか?

経営者起業家はもちろんのこと、サラリーマンとして勤めている人も読んだ方がいいと思える書籍でした。

なぜかというと、戦略的転換点とは企業だけでなく、個人にも訪れるものだからです。

 

時代とともに業界ルールが一変することは珍しくない。工業革命で多くの職人が職を失ったように、です。

 

変化の激しい現代で、時代の波にうまく乗り切れるのか?

それとも取り残されてしまうのか?

その違いを生み出すような意識改革や戦略を学ぶことは、誰にでも役立つことですよね。

 

社会人として働いているのなら、必読ともいえる名著でした。

20年ほど前の書籍の復刻版ですが、今でもメチャクチャ学びになる内容ばかりです。

 

それでは、書籍の要約。

書籍の要約

パラノイアと戦略的転換点

パラノイアとは、『病的なまでの心配性』のことを意味する。

そして本書のタイトルの通り、著者は、パラノイアであり続けるものがビジネスで生き残るという。

 

なぜなら、企業には必ず戦略的転換点が存在するからだ。

企業にとって、根本的な変化をもたらすタイミングのことだ。

この戦略的転換点を見逃すことは、破滅に向かうことを意味している。

 

しかし、戦略的転換点とは、なにも災いだけをもたらすものではない。

旧来のやり方を脱し、新しい方法に精通しているものにとってはチャンスが生まれるのだ。

 

『10X』の変化

企業の競争力を決定する要素は、6つある。

①既存の競合企業 ②供給業者 ③顧客 ④潜在的競合企業

⑤生産やサービス提供の方法が変わる可能性

⑥補完関係にある企業の力

これら6つの要素のうち、いずれが一つがケタ違いに大きく変化することを【10X】の変化という。

要するに力の大きさが従来よりも10倍大きくなることだ。

この変化が起きるとき、企業が直面する変化は巨大なものとなる。

これこそが、戦略転換点となる。

 

転換点に気が付くことは困難であり、最初の頃は『何かが違う』という漠然とした不安しか感じない。

だが、やがて大きなうねりとなって変化が推し進められることになる。

 

このような転換点をどのように乗り切るのか?

誰も正確に把握することは出来ない。

が、しかし、分かるようになるまで待つことは破滅を意味する。

 

転換点を乗り切るためには、直感判断しかないのである。

だからこそ、自分の直感力を磨き、様々なシグナルを感知できるようにしなければいけないのだ。

 

戦略的転換点で起こる2つの現象

戦略的転換点が業界内に吹き荒れるときには、2つの特徴がある。

 

一つは従来の構造で成功している企業ほど、脅威にさらされるということだ。

今まで通りの成功要因が通用しなくなり、大規模な変化を要求される。

しかし、成功している企業ほど、変化することをためらうものである。

 

もう一つは、業界への参入コストが大幅に減少すること。

その結果、ゼロから始めた新規参入企業が大きな成功を収めることも珍しくないのだ。

 

戦略的転換点の前触れ

戦略的転換点が起こるときには、なんらかの『シグナル』が発生する。

それと同時に『ノイズ』も発生することを知っておかねばならない。

 

一体なにが『シグナル』で、なにが『ノイズ』であるかを判断する絶対的な方程式は存在しない。

だからこそ、決断を下すかどうかを検討し続け、さらに時間の経過とともに再検討しなおす必要があるのだ。

ようは時代とともに『シグナル』であるか、『ノイズ』であるかは変化していくということである。

『10X』の変化になりえる出来事には、たえず関心を示さなければいけないのだ。

 

『シグナル』と『ノイズ』を見極める

著者が『シグナル』と『ノイズ』を見極めるために使用している3つの問いがある。

①主要なライバル企業の入れ替わりがありそうか?

②今まで補完企業とみなしてきた相手が入れ替わろうとしていないか?

③周囲に『ずれてきた』人はいないか?

①は自身の最も厄介なのライバルは誰か、という問いに迷いが生じたときは特別の注意を払う必要があることを意味する。変化が起きようとしている兆候である可能性がある。

②においても①と同じで、産業内のちから関係に変化が起きている兆候である可能性がある。

③は、これまでの企業の風土や方針が、外部の情報を遮断している可能性があるということだ。

自分でも他人でも『物わかりが悪い』人がいた場合には、年を取ったから等という理由ではなく、周囲の何かが変化している可能性がある。

 

また、『シグナル』と『ノイズ』を見極める際、初期バーションの質だけを見て、戦略的転換点の重要度を判断することはできないということも覚えておく必要がある。

 

メッセンジャーを撃ち殺すな!

戦略的転換点を見極めるためには、社内のカサンドラに目を向けなければいけない。(カサンドラとは、トロイの木馬の話に登場する予言者)

現場にいる人間からの報告、中間管理職からの報告。

これらをすべて『ノイズ』とみなしてはいけない。

 

例えば、中間管理職が重要な問題をしらせてきたとして、それを非難することは会社にとって【毒】となる可能性がある。

 

問題を報告すれば罰を受ける。そう感じた瞬間に問題をひた隠すようになる。

すると気が付いたときには体中に毒が回っており、手遅れになる。

 

たった一度でも、このようなメッセンジャーを撃ち殺してはいけない。

罰を受けたことが従業員に広がれば、全員が口を閉ざすようになってしまうのだ。

 

資源の配置転換

戦略的転換点を迎えたときは、戦略を大幅に変更することになる。

戦略の変更に当たっては、目指すべき戦略に、人材、経営資源、時間などの資源を集中投下する必要がある。

リスクヘッジをかけていては、激動する戦略転換点の時期を乗り切ることは出来ないからだ。

 

戦略的行動は、途中で躊躇して進むスピードを緩めたり、迷ってはいけない。

最も危険なことは、じっと立ち尽くすことなのだ。

 

キャリア転換点

会社員だろうと、個人事業主だろうと、人は誰でも自分のビジネスを営んでいる。

そしてビジネスで転換点が訪れるように、自分自身のキャリア上でも転換点は起きる。

最も重要なのは、自らの環境変化に敏感でいることだ。

 

読後感想

まず書籍を読んでいて一番感じたのが、とにかく読みやすいということ。

訳者の人の腕前なのか、翻訳書によくある違和感を感じることが無かった。(ある意味感動を感じた)

原本の内容を損なわないような訳者さんは、きわめて貴重な存在だと改めて感じた書籍でしたね。

 

さて、僕は本書を読むまで、インテルについてはあまり知識はありませんでした。

なんかパソコンにシールを貼ってあるな~、くらいの認識。

 

だからインテルの歴史や転換期の事は全く知らなかったのですが、、

激動の時代を生きてきた著者だからこそ、本書の内容が濃いのだと納得。

 

タイトルのパラノイアであり続けるというのは、特に今の時代に必要な意識だと感じました。

 

とにもかくにも変化が激しい現代では、悠々と腰を落ち着けている場合ではない。

常に世の中や業界の変化に敏感になり、アンテナを張っていないと、気が付かない間に時代遅れになる。

ドラッカーの言う通り、生涯学習の時代ということでしょうかね。

 

さて、本書の内容でとくに印象に残ったのは、

●過去の損失を切り捨てる

●10Xの変化に敏感になる

という2点について。

過去の損失を切り捨てる

過去の損失を切り捨てるのがなぜ重要か?

それは、成功した人ほど、新しい変化を受け入れがたいものになるから。

変化の激しい時代には、次々と新しいことを取り入れる必要がある。

 

著者は、半導体、メモリーで大企業に上り詰めたインテルが、日本企業にメモリーで勝てないと知ると戦略転換を余儀なくされた。

これを受け入れてマイクロプロセッサへと事業転換をはかるのだが、それはそれは一筋縄ではいかなかったらしい。

 

当然、インテルにはメモリーで成功したと、組織内の人間、組織外の人間、どちらもそう認識していたからです。

で、著者は決断し、メモリー事業を撤退することにした、と。

 

これはインテルのような大企業の経営者だけではなくて、僕のような一般的な人間にも言えることだと思う。

 

サンクコストバイアスがかかるとも言いますが、過去の損失を切り捨てるのは難しい。

ギャンブルと同じで、自分がかけたお金や時間を無駄にしたくないと思ってしまう。

だから、多くの人は、決断を遅らせてしまうのだけれど。

 

だけど、著者も言う通り、決断は遅いよりも早い方がいい。

決断が速すぎた場合は、いくらでも修正することが可能だ。

しかし、決断が遅いと、すでに手遅れで何の手の施しようもない場合もある。

 

なかなか人間、論理的に判断することが難しくて、ついつい感情ベースの決断をしてしまう。

まあ、これは経験とか、慣れとか、実際にその立場にならないと分からない気持ちだと思いますが。

 

なんにせよ、従来の方法を一新する必要っていうのは、生きている限り絶対に訪れることだと思います。

そういう決断が来るかもしれない、そう覚悟しておくだけでも、その時の行動が変わるかもしれませんね。

10Xの変化に敏感になる

『10X』の変化には、短期間に起きるもの、長期的に起きるものが存在します。

短期間に起きるものは、各業界ごとに多くあるので、それぞれ自分のかかわりのある業界の変化に注意すべきです。

 

僕は、これからの時代で長期的に起こる『10X』の変化が2つあると思っています。

一つはAI(人工知能)で、もう一つは仮想通貨(電子マネー)です。

 

どちらも世の中に大きく浸透しているとは言えない。(少なくとも表面上に見えてはいない)

けれども、今後世の中を大きく変えるのはこの2つなのかな、と。

 

 

AIについては、人工知能が人間を超えるだとか、自我を持つとか、その辺の技術がどうなるかは分からない。

ただ、確実に大きな変化をもたらすのは間違いないことだと思っています。

 

AIなんて、できっこないよ。

ってあぐらをかいていたら、いつの間にかAIが浸透していた、なんてことも全然ありえる。

 

というか、知らないだけで、AI(というかAIの技術)は今の生活と密接にかかわっています。

Googleの検索エンジンのアルゴリズムもそうですけどね。

 

少なくとも、最低限の知識をつけるとか、新しいテクノロジーのニュースはチェックしておく必要があると感じています。

 

 

そして仮想通貨についてですけど、今はまだ、投機好きの人がやってる『よくわからん怪しいもの』だと感じるかもしれない。

だけど、世界的に見ると、どんどん電子マネーにシフトしていっています。

逆に日本人は現金至上主義がすぎるとも言われていたりします。

 

実際中国では、買い物は電子マネー(Suicaみたいなもの)で行われているし、米国はクレジット決済が一般的。

他にも日本の大手銀行(三菱東京UFJ銀行とか)も仮想通貨を使用したサービスを作ろうと動いている。

 

興味ないっす、とか、俺関係ないし、とか。

いつまでもこういった意識でいるのは危険

 

なんにせよ、いつの時代でも、変化に敏感な人が成功するし、生き残るのが世の常。

織田信長が鉄砲を取り入れて、それまでの日本の合戦を大きく変えたように、新しいものを知る必要があるということ。

 

 

そういった意識を身につけたり、時代を読み解くヒントみたいなものを、本書からは学ぶことが出来ました。

読んで損はない、というか読んだ方がいいとお勧めできる書籍ですので、ぜひ一読あれ。

Amazonで購入する【パラノイアだけが生き残る】


 

記事内容が役に立ったと感じたら、クリックをお願いします!

管理人のモチベーションが上がります ^^

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村