『自衛隊元最高幹部が教える 経営学では学べない戦略の本質』書評~自衛隊の元トップだからこそ提示できる今の企業に必要な戦略とは?

どうも、こんにちは。

哲也です。

 

最近、知り合いにおススメされて『シン・ゴジラ』を視聴しました。

(だいぶ今更感ありますが…笑)

去年話題になっていたから気になっていたんですけど、

正直、見る前はたいして期待していなかったんですよね。

 

邦画のCGって、どうしてもハリウッドのCGと比べてみると粗が目立つことが多くて、

シン・ゴジラも同じような感じでしょって、思ってたんですよ。

 

ところがどっこい!

見てみるとゴジラの迫力に圧倒されましたし、

何よりゴジラのビームがカッコいい(そして怖い)んですよね。

 

また、シン・ゴジラの中でも特に印象に残ったのが、

自衛隊の発射する砲弾が全弾命中するシーン。

 

映画を見ていた時は、

『いやいやいや、流石に全部は命中しないでしょ(笑)』

って思っていたんですが、知り合いにその話をすると、

『自衛隊ならあれくらいは普通に再現できるらしいよ』

『今の自衛隊の戦力とか全部加味した演出にこだわったんだって』

というのを聞いて、

マジか(;゚Д゚)

ってメチャクチャ驚かされました。

 

実は劇中で出てくる自衛隊のトップは、

実在したある自衛官がモデルになっています。

 

今回読んだのは、シン・ゴジラの自衛隊トップのモデルとなった折木良一氏

『自衛隊元最高幹部が教える 経営学では学べない戦略の本質』です。

自衛隊とビジネスって、表面的にはあまり関係ないように思えますが、

実はビジネスで使われている戦略というのは、

戦争などで使われる戦略をベースに構築されたものが多いんです。

 

現在ビジネスで使われている戦略に抜け落ちている点について、

自衛隊という組織のトップにいた著者だからこそ見える視点で、

どのようにビジネスに活用できるかを解説されています。

どんな人におススメか?

戦史から学ぶ、という発想がなかった方であれば、新しい視点を得られるのでお勧め。

日本のビジネスの常識とは少し異なる視点を手に入れることができます。

特に戦史から学ぶという発想は、なかなか教えてくれる書籍はありませんからね。

 

書籍のかなには、

●数々の戦史を研究し経営、ビジネスに重要である要素を見出す

●PDCAとは異なる自衛隊が最も大切にする「IDA」サイクル

●地政学を超える「地経学」の重要性

●戦略の成功確率を上げるための「戦力回復」

などの事について書かれていて、

これらの項目に少しでも興味が湧いたら、面白く読めると思うし勉強にもなると思います。

重要なポイントの要約

戦略とは何か?

経営戦略や事業戦略。

このようにビジネス上で『戦略』という言葉を使っていますが、そもそも戦略という言葉は『軍事』から来ています。

そして、経営戦略の多くは、軍事戦略を活用・応用したものです。

であるならば、経営戦略の本質、ひいては戦略の本質を理解するためには、軍事戦略とは何かを学ばなければいけません。

 

軍事戦略が経営戦略に取り込まれていった一例として、ナポレオン率いるフランス軍が採用した『師団』があります。

師団というのは、個別に独立した作戦を展開することのできる軍事組織です。

当時、フランスが掲げる『自由・平等・博愛』を掲げるフランスに対して、王侯貴族などの身分制度を守りたい周辺諸国が宣戦布告を行った。

フランス軍は、多数の敵軍と同時に戦争を行う必要性に迫れられ、その結果、軍団制度が生まれたのです。

ナポレオン率いるフランス軍は、複数の師団による作戦を指揮し・統制する軍団制度を駆使して、欧州の敵国を圧倒しました。

 

この『師団』とは、企業の事業部制と同じ制度といえます。

歴史学者のチャンドラーは、事業部制が採用された理由について次のように述べています。

『20世紀の企業が大きくなり、事業を多角化する過程において、単一の指揮系統ではコントロールができなくなることから、最適な組織形態を求めて事業部制に転換された』

 

1950~1960年代のアメリカ企業は、既存製品や既存事業ではさらなる成長が見込めない以上、新製品や新規事業に挑戦しなければならない。

経営資源のコントロールという内に向けていた目を、どの分野で成長可能かという外へ向けなければいけなくなった。

つまり、いかに新しい分野の競合と戦うかが重要な課題となり、戦争において敵に勝つことを目的とする戦略が、新しい経営課題を解決するカギとなったのです。

戦史から学ぶ戦略論

日本では先の大戦の影響もあって、戦史研究が学究的な分野と見なされることはありません。

一方欧米においては、戦史研究は数々の研究が積み重ねられ、その中から多くの知見が戦略研究やリーダーシップのモデルに活用されています

環境変化の激しい時代を生き抜くビジネスパーソンであるほど、戦史を学ぶことで、課題を解決できるヒントを見出すことが出来るかもしれません。

なぜなら、戦争という極限で戦略的意思決定を迫られるという状況は、世界中の競合他社と存亡をかけて戦う企業の立場に通じるところがあると思うからです。

 

例えば、『キューバ危機』からは、ジョン・F・ケネディ大統領からリーダーシップ、つまり経営戦略における決断について学べます。

『ノルマンディー上陸作戦』を指揮したアイゼンハワーからは、大企業の全社戦略、M&A後の統合作業に必要なリーダーシップやマネジメントなどについて学ぶことができます。

『ミッドウェー海戦』からは、戦略目的の統一、現場への指示の徹底こそ戦略実行の要諦であることを認識できます。

『ガダルカナル作戦』からは、適切な時期・場所に戦力を集中することが戦時においても、経営においても需要であると教えてくれます。

 

このように、戦史から経営戦略に重要である多くの示唆を得ることが出来るのです。

日本企業は地政学的リスクへの意識が異常に低い

地政学的リスクの二大要因は、テロの脅威と地域紛争の勃発です。

そもそも、日本企業には地政学的リスクに対する意識が欠けているように思えます。

第二次世界大戦後、紛争や戦争というものに直接的に関わることが無く、平和な環境で過ごしてきた日本人にはピンとこないのかもしれません。

 

海外進出した先で国際的な紛争が起きれば、生産や販売に甚大な影響が起きますし、事業継続の危機に晒されるかもしれません。

さらに、調査によると2000年に比べたときの現在のテロの発生頻度は10倍以上になっている、というデータも存在します。

日本企業もそうしたリスクに対して、感度を高めなければならないのは当然と言えるでしょう。

日本人が潜在的に抱えている『甘え』

日本人は、ハイコンテクスト文化に生きています。

ハイコンテクストとは、意味を伝えるための努力をせずとも相手も意思を察し合い、なんとなく意思疎通が図れてしまう環境のことを指します。

この『相手も分かってくれるだろう』という無意識、つまり甘えが存在しているのです。

甘えの影響は、企業の海外進出時などにも出てきます。

自社の経営理念やビジョンを、海外支部でも『理解してくれるだろう』と思う訳ですが、それが日本以外では通用しないということを理解しなければいけません。

 

日本とは異なり、アメリカ企業は文化人類学者を雇うことがあります。

文化人類学とは、国ごとの思想などを取り扱う学問領域です。

なぜ、文化人類学者を雇うのでしょうか?

それは、言語、文化、歴史、生活習慣が全く異なる市場を開拓していくならば、自分たちが持つバイアスを取り除き、現地の人々がほんとうに必要とする商品やサービスを理解する必要があるからです。

読後感想

書籍を読み終わって、

『なるほど、確かにそういう視点はなかった』

という部分が多くあり、結構参考になりました。

 

戦史から学ぶ、ということもそうなのですが、

特に印象に残ったのが『地政学的リスク』に対する視点です。

 

企業が海外進出を果たすとき、その現地の風土、人柄、生活習慣などを考慮すべき、

というのは大前研一の戦略論などでも語られていますが、

展開先の土地の危険へのリスクヘッジをする、

という視点はあまりありませんでした。

 

昨今の世界情勢では、

イスラム国などによるテロの脅威が無視できませんし、

北朝鮮問題だけでなく、他の地域での紛争の発生など、

企業が考慮すべき事柄が増えてきています。

 

にも拘わらず、日本企業の地政学的リスクへの意識は、

他の国の企業と比べると断然低いらしい。

どうしても、日本という国にいると、災害などに対する危機意識はあっても、

テロや紛争といった現象への危機意識は育ちにくいですからね。

 

こういった面では、著者の自衛官としての視点は、かなり勉強になりました。

 

また、東日本大震災の救出作業などを指揮された経験から、

戦略を発揮するためには『戦力回復』が重要である

と語られるのには説得力があります。

 

東日本大震災という非常事態が起こったとき、

現場の自衛官の疲労、精神的な摩耗などを考慮し、

救出作業という、戦略を遂行するために必要な戦力回復策を実行する。

 

これは災害復旧の作業遂行に必要なことであるのは、想像しやすいですよね。

 

でも、著者の視点はもう一歩先を見ていて、

災害復興作業が完了した後の国防任務に支障をきたさないように戦力回復は必要不可欠だった

というのを見て、感心させられました。

 

自衛隊の任務というのは、災害救助作業などもそうですが、最大の目的は『国防』です。

災害復旧作業で自衛官たちの疲労が蓄積し、メンタルが摩耗して、国防の任務に支障をきたす。

すると、日本という国の存在自体が危ぶまれる可能性も出てきます。

この企業のミッションと言えるようなことを最重要視する考え方は、

さすが自衛隊のトップの方だなって思います。

 

 

こういった方に日本を守ってもらっていると思うと、

誇り高く思いますし、安心できますよね^^

 

今までにない視点でビジネスを見たいと思うのであれば、

この書籍はかなり参考になる部分が多いですので、

興味があれば読んでみてくださいね。




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