『江副浩正』書評~リクルート創業者の激動の人生から学ぶ5つの教訓




どうも、こんにちは!

哲也です。

 

リクルート事件を知っていますか?

この事件は、リクルート創業者の江副浩正氏が贈収賄事件の被疑者として立件されたものです。

 

当時はもの凄く騒がれた事件だそうですが、正直、僕はこの事件のことは詳しく知りません。

僕が生まれる5年以上前に起きた事件ということもあり、名前は聞いたことがある気がする、っていうくらいの認識でした。

そういうわけで、江副浩正という名前にも馴染みがない状態だったんですね。

 

そんな中、先日Amazonで、次は何を読もうかとランキングを眺めていたところ、『江副浩正』というタイトルの本を発見しました。

「ん?聞いたことのない人名だな~」

なんて思いながら詳細を見てみると、なんと、あのリクルートの創業者であることを、この時初めて知ることになります。

 

さらに興味をもって本の紹介を読み進めると、江副氏のことを表現した

『東大が生んだ戦後最大の起業家』『民間のあばれ馬』

という呼び名に惹きつけられました。

 

さらに孫正義氏が尊敬している人物であることも分かり、

「これは読まねばっ!」

と思い、即購入して、今に至ります。

 

数日前から読み始め、やっと今日読み終わることが出来たので、読んだ感想などを書いていきますね。

馬場 マコト、土屋 洋

日経BP社

書かれている内容と著者について

この『江副浩正』という書籍は、江副氏の生い立ちから死の瞬間まで、順を追って書かれています。

つまり、江副氏の伝記のような書籍ですね。

こういった伝記は、堅苦しく読みにくいことが多いですが、本書は非常に読みやすかったです。

 

著者の馬場氏、土屋氏は、リクルート同期入社の友人同士で、江副氏のもとで働いた経験があります。

江副氏を尊敬している2人だからこそ、江副氏のことを良いようにしか言わない可能性もあるわけです。

結果、読み終わった僕の感想としては、そんな心配は杞憂におわりました。

江副氏のことを直接知っている方たちだからこそ、偽りのない内容が書けたのではないかな、と。

 

良い部分はもちろん、悪い部分、問題があった部分まで、詳細に描かれています。

江副氏の残した数多くの原稿、手紙、メモ。

さらに社内報や出版物に目を通され、様々な人に聞いた結果だと思うんですが、

まるで本人が過去を振り返りながら書いたのかのような臨場感で、一気に書籍の内容に引き込まれます。

 

江副氏の転落のきっかけとなったリクルート事件についても、事件発生の経緯、事件後の動きまで、詳しく知ることが出来ます。

また、当時江副氏を担当した検察の取り調べは、壮絶なものであったと描かれています。

今では考えられないような非道徳的な取り調べであったと。

 

(江副氏が無実の罪かどうかは別として)こんな状況では、無実でも、罪を認めると言いかねないよねって思うんですよね。

 

リクルート事件の真相、つまり江副氏は無実の罪だったのか、否か。

それについては、この書籍だけでは判断することは出来ません。

あくまでも江副氏を尊敬する人の視点で描かれた書籍なので、また逆の立場(検察側)の書籍を読んだら印象が変わるのかもしれない。

だけど、少なくともこの書籍を読んだ江副氏の印象は、意図的にそういった行為をするような人には見えませんでした。

 

戦後最大の起業家と呼ばれた江副氏は、いったい何を考え、どう生きてきたのか。

それを限りなくリアルに近い形で描かれた本書は、今年一番読んでよかったと心から思える書籍でした。

この書籍をお勧めしたい人

この書籍は、ビジネスに携わる人間なら黙って読め!って言いたいくらい、本当にお勧めできる書籍です。

今年出版された書籍で、僕が読んだ書籍の中では最高ですね。

「なんでこんなに凄い人の事を、今まで知らなかったんだ?」

っていうくらい、感銘を受けましたし、勉強にもなりました。

 

僕の中では、日本の凄い起業家のイメージとして松下幸之助さんが思う浮かぶんですが、間違いなく江副浩正さんもトップクラスに凄い起業家だということを知ることが出来ます。

 

経営者としてあるべき姿、ビジネスに対する姿勢、イノベーションを起こし続ける組織設計など。

日本経済に多大なる功績を残した人物の一生を知ることで、普段の仕事に対する意識がガラッと変わることになると思いますよ。

江副氏から学んだ5つの教訓

さて、ここからは書籍『江副浩正』を読んで、僕が得ることが出来た5つの事について掘り下げていきたいと思います。

教訓その1 リーダーは孤独である

この書籍を読んでいて思ったのは、経営者、つまりリーダーは孤独であるということです。

 

リーダーは様々な決断を強いられますが、その多くが周囲には理解されないことも多い。

書籍内で江副氏は、会社の行動方針を決める際、役員会のメンバーの同意を得られないことがしばしばありました。

なぜこういったことが起きてしまうのかというと、知識量の違いがあったことが考えられます。

 

経営者として江副氏は、自身が事業を進めるうえで様々な苦境を乗り越え、その中で学んだ数多くの気づきがあったはずです。

また、経営者同士の繋がりや情報交換も行っていたことから、他の誰よりも質量ともに圧倒的な知識があった。

しかし、これらの知識は、当然ながら周囲の人は持ち合わせないもの。

だからこそ、江副氏の主張が理解できない人がいても、おかしくは無いわけです。

 

本書籍を読んでいて思ったのは、事業展開のスピードが命の創業時においては、トップダウン式の経営にするべきだということ。

自分と同じだけの知識量の人がいない場合、周囲の意見に惑わされていてはスピードが遅くなる。

だからこそ、意思決定からの実行スピードが速い、指示系統が一本につながっているトップダウン式が望ましいのかな、と。

教訓その2 採用を重視するなどの先見性

江副氏の経営の特徴として、採用をかなり重要視しています。

書籍内で、30億円でスパコンを購入した理由が、理工系人材の採用のためだという話が出るんですが、これには驚かされました。

1986年という、インターネットを当たり前に使いこなす時代のずっと昔から、先を見据えて人材を集めた。

その先見性には、ただ驚かされるし、人材のためなら30億円をポンと払う決断力が凄すぎます。

 

今でこそ優秀な人材を手に入れるために採用に力を入れるのは当たり前です。

GoogleやFacebookなど、特にAI分野などで人材獲得競争が激しく行われていますよね。

高学歴だとか、そういった要素だけじゃなくて、能力や今の会社に必要な能力を持っている人を集める。

 

こういった先見性は、天賦の才だからこそ、というわけではないと思います。

アンテナを張って、色々な情報に触れることで、起こりうる未来に向けての準備をする。

一朝一夕で身につくものではないですが、身につけていかなければいけない能力であるのは間違いないですよね。

教訓その3 パラノイアであった

江副氏は、特に初期、大学新聞広告社の頃からパラノイア(心配性)であったことが印象的です。

 

他の人が、現在の事業に疑問をいだいていない中、江副氏だけが『このままでは3年後は・・・』と考え込みます。

常々、このままでは事業が立ち行かなくなると心配し、実際そうなる可能性があった。

だからこそ、江副氏は次々と新しい事業を開発していき、それにより事業規模も大きくなっていったと。

 

インテル創業者のアンドリュー・S・グローブ氏の書いた著書、パラノイアだけが生き残る(旧題:インテル戦略転換)でも書かれていたが、心配性であり続けることが生き残るために必須だというわけですね。

自社の事業、戦略の変更を余儀なくされる事態は、いつでも起こりうる。

だからこそ、時代の流れに敏感になり、危機を察知することが必要なのでしょう。

教訓その4 徹底的な顧客目線

江副氏の成功の理由の一つは、徹底的な顧客目線でしょう。

今でこそ顧客目線というのは当たり前のように言われている話ですが、当時はそうではなかった。

 

江副氏の創刊した最初の情報誌である『企業への招待』は、それまで企業の採用情報のみを乗せるだけだった広告に対して、初めて学生目線で参考になる就活情報を提供した。

そのため『企業への招待』は成功をおさめ、リクルートの情報産業への足掛かりとなるわけです。

また、不動産情報誌の時も、顧客は男性だけではなく妻もいることを指摘し、女性目線の情報を入れるようにすることなどを行っています。

 

こういった情報誌の顧客は、広告主と読者の2つがあるわけですが、江副氏は読者を優先させるといいます。

読者からの支持を得られなければ、結果的には事業の成功はないと見込んでいたからこそ、徹底的な顧客目線を貫いたのではないでしょうか。

この姿勢は、どんなビジネスをしていても、絶対に見習わなければいけないことですね。

教訓その5 ミッションから外れてはいけない

リクルート事件が発覚する直前、社内では江副氏は『江副2号』と呼ばれていました。

これは、以前までの江副氏(新しい価値の創造を目指す)とは全く異なる様子に社員たちが戸惑い、嘆くようにそう呼んでいたのだそうです。

 

リクルート事件前の江副氏は、不動産やノンバンク事業に熱中するあまり、それまでのリクルートのミッションである『新しい価値の創造』とはかけ離れた道へと進んでいた。

このことから、ミッションから外れた道へ進むことは、社員の心の離反を招くことが分かります。

 

江副氏がミッションから外れた理由の一つとして、負の感情に振り回されてしまった、というのがあると思います。

江副氏の強烈な『悔しい』という感情を元に躍進していくわけです。

ですが、こういった負の感情は強烈なパワーになるのと同時に、非常に危険な存在でもあるということ。

 

江副氏は、幼少期、少年期の経験から、劣等感などを強く感じ、承認欲求が人一倍強かったのだと思います。

だけど、その感情が暴走し、従来の経営理念から逸脱した業務に走ってしまった。

 

反面教師としてですが、ミッションから外れること、負の感情を利用することの危うさ、ということについて、江副氏から学ぶことが出来ました。

最後に・・・

この書籍を読んでいて、

『あれ?似たような話を聞いたことがあるような気が・・・』

って思っていたんですが、読み終わってから気が付きました。

 

『そうだ!成功者の告白に似ているんだ!』って。

神田昌典が書いた『成功者の告白』では、起業家が成功するまで、そして、そのあとに訪れる不幸までを描いています。

成功した経営者は、華々しい姿であるように見えるけど、家庭は冷え切っていたり、何らかの不幸が起こったりすると書いてあり、初めて目にしたときは衝撃を受けました。

 

そして、今回読んだ『江副浩正』も、ほぼ同じような軌跡をたどっています。

江副氏は、華やかな成功や職場での穏やかな笑顔とは裏腹に、家庭では暴力をふるい、妻とは離婚し、離婚後裁判を起こされます。

まさに、神田昌典の成功者の告白のように、リクルート事件が起き、プライベートでは妻との争いが起きてしまうわけです。

 

神田昌典は、成功も失敗もパターン化されているといいます。

今回の『江副浩正』のような経営者の生涯を本で読むことは、それらのパターンを知ることに大いに役立ちそうです。

 

とにかく!

最後に言いたいことは、今回僕が読んだ『江副浩正』は面白いし、役に立つから、絶対に読んだほうがいい!

っていう事ですね。

馬場 マコト、土屋 洋

日経BP社

 




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