『AIvs.教科書が読めない子供たち』書評~人工知能に仕事を奪われないために必要なこととは?

どうも、こんにちは!

哲也です。

 

2045年、シンギュラリティがきて、人工知能が人間を超える。

そう唱えるのは、GoogleでAI開発の総指揮を執るレイ・カーツワイル氏です。

 

シンギュラリティとは、技術的特異点を意味します。

人類の技術は指数関数的(倍々)に進化しており、やがて人類の進化のスピードが無限大になる。

その時に、人類すべての知能よりもAIのほうが賢くなる。

 

シンギュラリティという言葉に馴染みのない人は、カーツワイル氏の、まるでSF映画のような発言を信じることが出来ないかもしれません。

僕も、そんなバカな、と笑っていたんですが、ある書籍を読んでから、ガラッと考えが変わりました。

その書籍とは、カーツワイル氏が書いた著書『ポストヒューマン誕生』です。

 

ポストヒューマン誕生では、シンギュラリティについて500ページという大ボリュームで解説されており、

それを読んだ僕は、どんでもない時代に生まれたんだな、と驚きと感動を覚えました。

 

ここ最近のAIブームが起こってからは、なおさらシンギュラリティという言葉が浸透してきており、

『AIが人間を超える』

という主張も多くなっています。

 

しかし、そんな中、

『AIが神になる?――なりません。AIが人類を滅ぼす?――滅ぼしません。シンギュラリティが到来する?――到来しません』

と唱えたのが、今回僕が読んだ本『AIvs.教科書が読めない子供たち』の著者、新井紀子氏です。

『AIvs.教科書が読めない子供たち』

新井紀子

シンギュラリティを信じていた僕としては、この説に対して、

『えッ!?』

と驚きました。

 

だって、GoogleのAI開発の総指揮を執っている人がシンギュラリティを唱えているんだよ、って。

しかし、書籍の内容を読んでいると、なぜそのような説を唱えているのか理解することができました。

著者の経歴

新井氏は、一橋大学法学部および、イリノイ大学大学院数学科課程修了しました。

専門は数理論理学。

2011年より人工知能プロジェクト『ロボットは東大に入れるか』プロジェクトディレクタを務めます。

現在は、国立情報学研究所教授、同社会共有知研究センター長、一般社団法人「教育のための科学研究所」代表理事・所長などをされているようです。

シンギュラリティは数学者の視点で見ると不可能?

なぜシンギュラリティは来ないのか?

その理由について、数学者であり、『東ロボ君』というAI開発に携わる著者は、数学者の視点から、こう答えます。

 

AIというのは、コンピューターであり、計算をします。

計算、つまり、数学を使っているわけです。

そして、僕ら人類の脳みそは、電気信号のやり取りで物事を考えている。

つまり、計算をしています。

 

それで、人類を超えるようなAIが開発されると言われているのは、

人間も脳みそで計算をしているのだから、

コンピューター上でも再現できるはずだ、ということなんです。

 

しかし、現在数学で表せるものは、『論理』『確率』『統計』の3種類だけ。

この3種類が、4000年以上の数学の歴史の中で発見された数学の言葉全てです。

 

人間が考えているような物事を、『論理』『確率』『統計』の3種類だけで表せるかというと、そうではない。

数字で『意味』を表す言葉は、今だ発見されていません。

 

昨今のAI事情で騒がれているディープラーニングという機械学習(AIの学習方法)の技術には、『統計』が使われています。

以前、GoogleがAIが猫の画像を理解した、と発表したことがニュースになりました。

しかし、理解した、ということは誤りで、AIは統計的に猫であると判断した。

猫である可能性が高い、としただけで、真に理解をしたわけではない、というわけです。

 

確かに、今まで僕が読んだことのある書籍でも、ディープラーニングには統計が使われていると書かれていました。

しかし、その時は、なんとなく『へー、人工知能は進化しているんだなー』なんてことしか考えていなかったんですよね。

 

著者の数学者の視点から、現段階で人工知能が人間を超えるのは不可能(シンギュラリティは来ない)と言う理由が理解できました。

現段階で、数学で表せる言葉では、人間の知能を再現することは出来ないから、というわけです。

 

ただ、シンギュラリティを今まで信じていた僕としては、なかなか受け入れられない事実でもあるんですよね、、、

 

現段階で、ということは、数学で何らかの発見がなされれば、シンギュラリティが可能になるというわけでもある。

そう思う、というか、僕がそう思いたいだけかもしれませんが(笑)

しかし、AIが人間の仕事を奪うのは事実…

それで、人間を超えるようなAIは実現不可能、と聞くと少し安心するかもしれません。

なぜなら、AIが仕事を奪うと言われて、漠然と不安を感じている人も多いと思うからです。

 

ただ、残念ながら、安心することはできなさそうです。

著者が開発する『東ロボ君』は、現在まで東大に合格することは出来ていません。

しかし、MARCHレベルの大学には合格しています。

 

これが何を意味するか。

日本人の大学の上位20%に満たない大学は、AIでも入学が可能。

つまり、そのレベルの人間であれば、AIが代替え可能であるかもしれない、というわけです。

 

多くのAI研究家が危惧しているように、著者も、AIによって人間の仕事が奪われることを危惧しています。

 

よく、『AIが出来ても、AIにできない仕事をすればいい』という楽観的な意見があります。

では、AIにできない仕事はと言うと、

●コミュニケーション能力や理解力が求められる仕事

●介護のような柔軟な判断力が求められる肉体労働

というような仕事があるだろうと、著者は言います。

 

では、上記のような仕事をしていればいいかというと、そうは問屋が卸さない。

上記のような仕事にありつけない人は、どんどん貧困になるし、そうすると他の職業にも影響が出てくる。

貧困になれば、当然ですが、物は売れないからです。

 

それだけじゃありません。

コミュニケーション技術はまだしも、理解力が求められるような仕事、、、

これすらも危ういというのが、日本の現状だそうです。

日本の中高生の読解力は危機的な状態

著者は、現在、中高生の読解力を測定するためのテスト『RST』を開発し、提供しています。

なぜかというと、日本の中高生の読解力が危機的な状態だからです。

 

例えば、書籍内で出てきた次のような問題を見てみてください。

次の文を読みなさい。

仏教は東南アジア、東アジアに、キリスト教はヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニアに、イスラム教は北アフリカ、西アジア、中央アジア、東南アジアに主に広がっている。

この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。

オセアニアに広がっているのは( )である。

①ヒンドゥー教 ②キリスト教 ③イスラム教 ④仏教

一見、ごくごく簡単な読解問題に見えますが、中学生の3人に1人が、高校生の10人中3人が正解できなかったのだそうです。

しかも、このテストを受けたのは、進学率ほぼ100%の進学校に通っている生徒だというのだから、驚きです。

 

なぜ著者が、中高生の読解力について、これほど危機感を持っているのか。

それは、基礎的な読解力は、人生を大きく左右するほどの影響力があるからです。

 

例えば、偏差値の高い大学に入るためには、基礎的な読解力が欠かせません。

なぜかというと、教科書の内容を正しく理解することが出来ないし、問題の意味をはき違えることもあるからです。

 

日本の大学入試は、暗記だけしていれば受かる。

とバカにする人もいますが、決してそれだけではないというわけですね。

 

確かに、僕が中学生の時に勉強を教わっていた先生も、

『国語が出来れば、他の教科も出来るようになれる』

『でも、国語が出来なければ、成績を上げることは難い』

と度々言っていたのを思い出しました。

 

基礎的な読解力がないと、例えば、業務マニュアル書を正しく読めない、などという問題も出てきます。

また、何らかの事について自習する時も、正しく理解できないので、身につかない。

だからこそ、著者は、今回の書籍を書いてまで、読解力を高めることを啓発したかったのでしょう。

 

また、著者は、本書籍の印税を、全国の中高生が読解力テストを受けられるようにするための資金に充てるそうです。

並々ならぬ情熱を感じますよね。

 

基礎的な読解力が付くのは、15歳くらいまでだと言われているそうです。

だからこそ、著者は中高生に対して、出来るだけ早く読解力をつけてほしいのだとか。

 

読解力というと、読書をすればいいと思うかもしれませんが、読書をしている人と、読解力が高い人との相関性はないそうです。

意外ですよね。

どうすれば読解力が付くのか、これはまだまだ研究中の課題なんだとか。

 

それで、読解力が15歳までしか身につかないと聞くと、不安になる人も多いのではないでしょうか。

ただ、著者はいつでも読解力をつけることは可能だろう、とも言っています。

なぜかというと、著者の身近な人に、大人になってから読解力が急激に上昇した人がいたから、らしいですね。

読解力を上げる方法

僕自身は、読解力がメチャクチャ高い、わけではないんですが、それなりにあると思っています。

なぜなら、高校生の時に、担任の教師からセンター試験を半強制的に受けさせられたのですが、現代文だけ満点だったからですね。

逆にそれ以外は赤点レベルなので、全然自慢にはなりませんが…(苦笑)

 

それで、僕や、センターの現代文が満点だった友人との共通点は、本を読むことだったんですよね。

本と言っても、僕は普通の小説で、友人はライトノベルが多かったんですけど。

 

『いやいや、読書をしても読解力が上がるわけじゃないんでしょ?』

と疑問に思うかもしれませんが、ただ読むだけでは意味がないんですよ。

 

小説なら、著者がなぜその描写を入れたのか、登場人物にそのセリフを言わせたのか、行動させたのか。

そういったことを、きちんと考えながら読み込みます。

僕も、友人も、共通の書籍を読んでいた時は、互いに議論みたいなことをしていました。

あの時、なぜあの人物がああ言ったのか、あの行動に出たのか、って。

 

これって、小説だけじゃなくて、ビジネス書とかでもそうだし、もっと言えば漫画や映画でも同じだと思っています。

 

ビジネス書なら、読みながら、書かれていることに対して考える。

本書『AIvs.教科書が読めない子供たち』なら、「じゃあ、どうやったらAIは実現可能なんだろうか」とかって。

別に、専門的な知識を持っていないからダメ、とかではなくて、疑問を持って、考えることが重要かと。

 

漫画や映画では、僕がよくやっていた『あの人物はあの時、なぜあの行動に出たのか』といったことを考える。

また、演出などに対しても、何の意味があるのか、考える。

 

ようは、考える癖をつけることが、読解力向上に上がるんじゃないか、って思うんですよね。

あくまでも自論で、科学的な根拠とか、データはありませんが、参考になれば幸いです。

まとめ

というわけで、書籍の感想を書いてきました。

 

「シンギュラリティが来ない」

という意見には驚きましたが、その理由に納得できました。

 

片方だけの意見に固執することは危険でもあるので、

自分が考えていることの、逆のことを言っている書籍を読むのも面白いですね。

 

AIが人間の仕事を奪う事実は、現実に起こりつつあります。

僕らがそれに向けて出来ることは、自分の能力を高めて、生き残る力をつける。

それしかない、と思います。

 

本書は、AIに興味がある人や、AIに危機感を抱いている人であれば、かなり面白く読める書籍なので、興味が出たら手に取ってみてくださいね^^

『AIvs.教科書が読めない子供たち』

新井紀子

PS.

レイ・カーツワイル氏の『ポストヒューマン誕生』ですが、文系出身が読むのは、少し辛いものがあります。

なので、もし興味があるのであれば、同書のエッセンシャル版『シンギュラリティは近い』がお勧めです。

シンギュラリティは近い

レイ・カーツワイル

ボリュームが抑えられていて、かつ、ポストヒューマン誕生に比べると分かりやすくなっています。

興味があれば、ぜひ^^




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