こんにちは、哲也です。
今回読んだ本は、Amazonのマネジメント・人材管理のランキング1位に登場していた、
山北陽平【結果を出すリーダーほど動かない】です。
タイトルだけ見たときは、効率よく仕事をするための本かな?って思っていました。
そうではなく、内容は管理職向けの部下のマネジメントに関する書籍です。
本書では、部下のマネジメントの手法である『壁マネジメント』について解説しています。
いかに部下を指示通り、上司の望むような行動を取らせることが出来るのか?
ということについて書かれています。
どんな人が見るべきか?
部下へのマネジメントに関する本なので、
●管理職についている人
●部下を持っている人
●社長
といった人が読むと、役に立つ内容です。
特に、
『なぜこんなにも指示に従わないのか…』
『部下がルールを守らない…』
『何度言っても改善しない…』
という悩みを持っている人には効果的な解決策を示してくれています。
書かれている内容も合理的で、複雑なものではなく、すぐに実践に移すことも可能な内容です。
書籍の内容の要約
なぜあなたの部下は動かないのか?

部下が思い通りに動かないのは、何も部下の性格や能力の問題ではなく、上司が部下を動かすメソッドを持っていないことが原因だ。
実は、あなたの部下が指示通りに動かない、ルールを守らないのには2つの理由がある。
理由その① 部下たちに動かなくてもいい環境が与えられている
理由その② 部下が「自分の判断基準で動いていい」という認識を持っている
部下の行動を変化させるために重要なのは、上司が部下とどのようにかかわるか、ということだ。
なぜなら部下の行動は、過去の経験則を元に判断されるから。
そのため、過去に上司の指示に従わずにいても大丈夫であるという経験があると、部下は「今度も前と同じように大丈夫だ」と判断する。
いくら上司が部下に対して『●●をやっておけよ!』と指示をしたとしても、その後の管理、サポート、教育をしていなければ、部下が指示に従うことはない。
壁マネジメントとは?
壁マネジメントとは、上司にとって望ましい行動を部下にさせることだ。
上司にとって望ましい部下の行動とは、上司の指示通りに部下が行動すること。
つまり、壁マネジメントの目的とは、上司にとって望ましくない行動をしないように、その行動をブロックし、望ましい行動をさせるようにすることだ。



これを徹底して行い、望ましくない行動を取らないように習慣付ける。ルールや指示を守ることが当たり前であると理解させる必要があるのだ。
壁マネジメントの3つの運用ルール

壁マネジメントを運用するためには、行動ルール、介入ルール、フィードバックという3つのルールが必要となる。
①行動ルールの設定
行動ルールを設定するときに、注意すべき点がある。それは、「目標」と「行動ルール」は異なることだ。
行動ルールは、やろうと思えば出来ることを設定しなければいけない。
例えば、目標とは「営業マンは今月30件の成約をすること」といったもの。
これでは、明確にルールに従っているかどうか判断できないし、そもそもやろうと思っても実現できないことである。
行動ルールとは、「営業マンは今月100件のアプローチをとること」と、誰にでも、やろうと思えば実現できることを設定しなければならない。
そのうえで、「月100件のアプローチで10件の成約を目指す」という目標を立てる必要があるのだ。
②介入ルールの設定
設定した行動ルールを部下が確実に実践しているか、もれなく確認する必要がある。
そして、行動ルールが実践されていなければ、部下に対して指導する。
そうしなければ、部下は「やらなくても大丈夫だった」という習慣を身につけてしまう。
だからこそ、介入ルールを設定する必要がある。
介入には、リマインド型、アフター型、累積型という3つの種類がある。
リマインド型は、事前に確認する。「今日は〇〇をする予定だったよね?」
アフター型は、事後確認。「今日の●●の結果はどうだった?」
累積型は、部下の行動のデータを取る。「今週は、〇〇を水曜日と金曜日に出来ていなかったね。来週はどうすれば毎日できるか考えてみようか」
③介入する際のフィードバック
上司は部下の行動に対して、適切なフィードバックを送る必要がある。
ざっくりと分けると2つ。
一つは、正しい行動をしたときには、褒美を出す。褒めることで、行動を繰り返す意識が強化される。
もう一つは、望ましくない行動をしたときに、罰する。注意をしたり、やり直しをさせることで、良くない行動を繰り返さないように意識させる。
大切なのは、このフィードバックを確実にすることで、正しい行動をしたのに何の反応もなければ、その行動を繰り返そうと思わない。
また、正しくない行動をしたのに、何のお咎めもなければ、それを繰り返すことになる。
壁マネジメントは改善を繰り返し、常に変化し続ける

ビジネスでは、同じ方法をしていれば必ず良い結果が出るわけではなく、常に方法を変化させる必要がある。
これは壁マネジメントでも同じである。
行動ルールを徹底させた結果、成果が出ないこともある。その時には、行動ルールを改善する必要がある。
最もいけないのが、中間成果が出ていない状況にもかかわらず、行動を変化させないことだ。
結果が出ていないのに同じ行動を繰り返しても、成果の出ない行動を続けることになる。
行動ルールを改善する3つの方法
①行動ルールの量的改善
「営業マンは今月100件のアプローチをかけ、10件の成約を目標とする」という行動で結果が出なかった場合、量そのものを変えてみる。
月100件で目標に届かなかったので次は月120件アプローチをかける、という風に。
②行動ルールのブラッシュアップ
量的なものはそのままにして起き、行動内容の改善を試みる。
「営業マンは、アプローチの時は分かりやすい資料を持参すること」といった感じだ。
これは量では解決できない、もしくは時間などのリソースが絶対的に足りないときに有効となる。
③行動ルールの追加
行動ルールの追加を試みる改善もある。
例えば、「営業マンは今月100件のアプローチをかける。しかし、アプローチ先はわが社の商品の主な顧客層である中年夫婦の家庭とする」といった感じに。
行動ルールを常に改善させていき、その時その時の最善の方法を探すことが重要になる。
マネジメントの状態の見える化

壁マネジメントの結果を計測し、スコアリングする必要がある。
なぜかというと、どの介入やフィードバックによって部下の行動が変化したのかを把握するためである。
また、同じ方法が全ての部下の行動の改善につながるわけではなく、当然個々人に合わせたマネジメントが必要となる。
個別のアプローチ法を設定することで、組織全体に浸透させることが出来る。
スコアリングする時には、
●行動ルールの実行データ
●中間成果の結果データ
●介入ルールの実行データ
●フィードバックの実行データ
これらを必ずセットで確認出来る状態にしておく必要がある。そうしなければ、漏れが出たり、気が付かない部分が出てきてしまうからだ。
そして重要なのが、中間成果の設定である。
行動と目標がかけ離れてしまうと、行動した結果、反応が得られているのか分からなくなる。
中間成果は、週単位で確認できるものまで落とし込む。行動と改善のサイクルを高速で回すことが必要だからだ。
壁マネジメントを強化する方法

壁マネジメントは、部下の行動を変え、組織の成果を向上させるものだが、同時に上司に対する負担も大きくなる。
上司は、部下以上に成果を求められることもあり、この負担を減らす必要がある。
この負担を減らすためには、3つの介入( リマインド型、アフター型、累積型 )をそれぞれ部下に報告させることで解決することが出来る。
例えば、リマインド型なら、毎朝上司に一日の行動予定を報告させる。
アフター型なら、業務終了後に上司に一日の行動結果を報告させる。
累積型は、部下自身に自分の行動結果を記録させる。
これをすることで、上司が部下に介入する手間を省くことが出来る。
注意点が一つだけあり、漏れに対する介入は依然として必要だということだ。
例えば、部下が朝の報告をしてこなければ「今朝報告がなかったよね」と報告の漏れを指摘するという介入は必要になる。
読後感想
本書の内容を見ていて、かなり納得できる部分が多かったです。
特に、正しくない行動をした場合は、注意するだけでなくて、その行動をしたことを後悔させるやり方は、即効性が高いと感じました。
指示を守らなくても注意だけで終わったら、『次も大丈夫だろう』と考えます。
僕自身も同じようなことを考えたことはあるので、たぶん間違いないです。
しかし、指示を守らなかった結果、守ったほうがましだと思えるような状況を作り出せば、自ずと指示を守るようになるな、と。
例えば、
『指示を守らなかった結果、次回から守るために自分の行動の改善点をまとめたレポートを提出させる』
といった方法であれば、誰もが
『レポートを提出するくらいなら指示を守ったほうがマシ』
だと思うようになるはずです。
他に、過去の経験則にのっとって判断する、という部分にも共感しました。
意識的にも、無意識的にも、人によって判断を変えることって多いです。
『この人ならこれくらいは大丈夫』と誰もが思ったことがあるはずですから。
例えば、学生時代に、
数学の先生は厳しいから居眠りや私語は出来ない。
けれども、国語の先生はなーんにも言わないから大丈夫。
って思った人も多いのではないでしょうか?
これは会社でも同じで、上司によって行動が変化することは多々あります。
この上司なら大丈夫だと、そう思われていたら、注意しても改善しないのは当たり前かもしれません。
そういった意味では、壁マネジメントは、超強力に(たとえあなたが気弱でも)部下の行動を改善させることが出来るのかな、と感じます。
また、部下へのマネジメントを見える化する、というのは面白い発想だなと感じました。
ビジネスでも同じで、数字で管理することで改善点が明確になるのだな、と。
見える化することで個人単位でもマネジメントに有効というのも、なるほど、と納得。
今まで見てきた職場で、個人個人に合わせた指導をしている人は極まれで、ほとんど見たことが無いです。
人によって当然効果的なアプローチは変わりますので、これを出来る人は確かに強いな、と思うんですよね。
本書のタイトルの『結果を出すリーダーほど動かない』というのは、
おそらく上記の『壁マネジメントを強化する方法』を実践することを指しているのだと思います。
上司が部下に報告させ、それが結果的に壁マネジメントの半自動化されることにつながる。
すると上司の手間が省け、時間が増える。
だからこそ、結果を出す人ほど動かないのかな、と。
自分が将来部下を持った時に、もう一度読み返したいと思える内容でした。
部下を持つ人なら、読んで損はない内容だと思いますよ。
書評いただきありがとうございます!山北陽平と申します。お礼が遅くなり大変失礼しました。短期間でここまで要約していただけるのは本当に凄いと思いました。数学の先生と国語の先生のたとえ話はセミナーで使いたいぐらい共感します。(この要約を見れば書籍を購入しなくても良いぐらいだと弊社代表が申しておりました)本当にありがとうございます
初めまして、管理人の哲也です。コメントしていただき、ありがとうございます^^
著者ご本人様からの直々のコメントをいただけて、うれしいです^^
>この要約を見れば書籍を購入しなくても良いぐらいだと弊社代表が申しておりました
いえ、とんでもないです!
出来るだけ壁マネジメントの魅力を他の人にも伝えようと工夫をしてみました。
ですが、書籍内の内容すべては網羅することはできませんでした。
やはり壁マネジメントを身につけるには、書籍をシッカリと呼んで、そのうえで血肉とし、実践すべきだと改めて感じております。
この度はわざわざコメントを下さり、本当にありがとうございました。